与一へつり滝 0045新潟005


滝名称:名称なし Non Name Falls
所在地:新潟県三条市(にいがたけんさんじょうし) Sanjyo City Niigata prefecture  
滝落差:3メートル
滝 幅:2メートル
河川名:駒出川(こまいでがわ)
その他:
駐車場:あり
難易度:★★★★★(集落の舗装道路を20分位、林道を50分位、登山道を50分位)
訪問日:2010年5月5日


現在地です。
最初の訪問は2009年5月6日。
2009年6月から区画整理事業が始まるので、この風景が失われる前に訪問。


道からちょっと外れた水田の最上部にきています。
ここは、通称月止(つきどめ)と言われる地区で河岸段丘上段の最奥の部分です。
左岸のこの地区は、駒出川が3段の河岸段丘を形成しています。
2段目の段丘が奥に伸びて二尾根進むと段丘を一段上がります。
正面の高い山が袴腰山です。

最上部を振り返って撮影。
この丘の上には、昔飼っていた猫が眠っていました。
段丘を一段下がって奥へ進みます。
例年は、水面が輝き農機具が忙しく行き交うゴールデンウィークの水田が、冬のままになっている様は、衝撃的でした。

一尾根巻いて現役最奥の耕作田を振り返って撮影。
背後の尾根を今巻いて進んできました。
水田を過ぎると、二つ目の尾根を乗り越えます。

更に次の段丘面を登り、振り返って撮影。
左奥の杉藪が二つ目の尾根。
ここは、20年前の水害により用水路が崩壊、その時に放棄された水田。
あぜ道の盛り上がりと、平らな部分で水田だった事が解りますが、すでに灌木が生え始めています。

さらに20分位奥へ、この辺りが、耕作された最も奥の部分。
これより奥は、駒出川と周囲の山々の間に耕作できるような平場が無くなります。

突き当たりには、小さな滝があります。
名前をつけるなら、雌滝でしょうか?

以前は、この巨石を利用して、こちらの岸から巨石まで木を渡し、さらに対岸へ木を渡して川を渡っていましたが、2004年の水害時に20メートル位下流まで流されてしまいました。
橋が流されていて対岸へ渡る事が出来なかったので、2009年はここで撤退しました。

2010年5月5日
この奥の渓谷部に新たな橋がかかっているとの情報を、現役再奥の耕作田で農作業をしていた地元の民に聞きだし、一年後、ついにリベンジの機会を得ました。

最奥の休耕田に来ました。
対岸に渡るすべが分かったので、20年前に破壊された用水路が気になり、まずそちらへ向かいました。
石垣で護岸を工事していたり、危なそうな場所はコルゲート管で地中化していましたが、それ以外の場所が崩れてしまい、当時の農業を取り巻く状況から、復旧作業の現地で用水路の放棄が決定されました。

打ち捨てられたコルゲート管。
20年以上経っているのですが、見た目はあの頃とあまり変わっていないように見えます。

取水口、
北五百川から粟ヶ岳を見ると、右に尾根を引いているように見えますが、この地点はその尾根より既に裏側に回っています。
ちなみに、用水の名前は、「駒木野江筋」です。
取水口から少し戻ると対岸への橋がかかっています。

対岸への橋です。
この部分だけ川幅が狭まり、岩の上に平場があります。
ここ以外は、川幅が広いか狭くても垂直の岩場かのいずれかです。
対岸に渡ると杉の林になっていて、そこを一直線に抜けると、巨石の橋から続く登山道に出ます。
この時は、あまり考えないで杉林を突破してしまったので、帰路に大変な事になります。

杉の植林地を抜けると、対岸に一本杉が見えます。
杉の足もとに駒木野江筋が見えています。
登山道は、巨石が流されるまでは、毎年刈り払いを行なっていたのですが、2004年以降は刈り払いをしなくなったそうで、笹藪や、灌木が道をふさぎ放題になっています。

枝が細いので、手で払いのけながら進みます。
道が尾根を巻いています、この尾根を巻く所を「与一のへつり」と言います。
上に50メートル、下に50メートル位の位置に道が通っています。
写真は、撮っていませんでした…

この先は道が荒れていた事と時間が11時で福島に戻らなくてはいけない時間が近づいていた事で、撤退を決断しました。

撤退地点から奥を望みます。
左手の杉の向こうに急峻な岩肌が見えていますが、与一のへつりもあんな感じの岩場が上に続いています。

滝の写真撮影点、あの岩の上から撮っています、垂直の岩が50メートル下まで続いています。
1年前のリベンジがなったと思っていたのですが、実は、本来目的にしていた所は、もっと奥地だった事が後日判明しました。
なんてこった…


帰路、杉の植林地まで戻って来て駒出川の川べりまで進んだのですが橋の位置をロスト。
杉の植林地の川べりの灌木をかきわけて、ようやく橋を発見しました。
山で遭難すると、焦りと無駄な動きで余計に体力を消耗する事を身をもって経験しました。


さて、ここは人里離れた深山。野生生物との遭遇の危険性を考え、リベンジは、今年の雪が降る前か、来年の春先に行う予定です。
本来この道は、白根山への登山道でした。
1990年代の初頭にがけ崩れで白根山までは廃道になり、山の神までは刈り払いが行われていたのですが、2004年の災害で刈り払いの対象が、杉の植林地のところまでになりました。

近年、麓の集落には、猿や熊が出没するようになったそうです。
はたから見ていると、人間の自然破壊が原因に思う人が多いと思いますが、地元の人に言わせると、昔は、奥まで水田があったり、刈り払いが行われていて、それなりに人が入っていた物が、休耕や災害による放棄で奥山に人が入らなくなり、また、休耕田の森林化により、山が里に近づき、それが野生生物の下山につながっているのではないかと言っていました。
人間活動で、奥地に押し込まれていた動物が里に出てきたという事です。


まぁ、農業を捨てた俺が言える事ではないのかもしれませんが…